成約率を3倍に伸ばす新規開拓の極意
成約率を3倍に伸ばす新規開拓の極意―これだけやれば、もう門前払いされない! (Do books)
- 作者: 栗本唯
- 出版社/メーカー: 同文舘出版
- 発売日: 2005/01
- メディア: 単行本
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同書で唯一為になったところがあるとすれば、「誰もテレアポや飛び込みなんてしたくないんだ、それを強要する会社は間違っている。それでは社員も定着しない」というくだりでしょうか。個人に過度のストレスを与える上記の手法は長い目で見てあまり好ましい方法ではないと考えているので、それに頼らない方法を常に模索しています。そのためのヒントをこの本に求めたのですが、ちょっと期待が過ぎたのかも知れません。
念の為に言っておくと、新人営業マンには為になる内容が書かれています。ただ私のように営業戦略を練る立場にある人間にはあまり参考にならないかも知れません。
戦略プロフェッショナル―シェア逆転の企業変革ドラマ
戦略プロフェッショナル―シェア逆転の企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫)
- 作者: 三枝匡
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2002/09/01
- メディア: 文庫
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実話に基づいているらしく、話の端々に非常にリアリティを感じることができますし、「ビジネス戦略を実際の現場でどう活かしていくべきか?」という永遠の課題にも真っ向から答えている感があります。話自体もよく練られていて面白のですが、ストーリーの間にコラム的に出てくるビジネス戦略の考え方についても非常に勉強になります。2回ほど読み直しましたが読む度に新たな発見があり、内容に深みを感じることができます。
主張自体に『キャズム』のような目新しさはないものの、ビジネス戦略のイロハがしっかりと書かれているので、営業部長さんや営業戦略を考えるポジションにある方はきっと為になると思います。値段も648円と安いのでオススメの1冊です。
私は『デッドライン』のようなフィクション系のビジネス本については、芝居がかった感があまり好きではなく、HowTo系や方法論系の書籍ばかりを読む傾向がありましたがこの本のおかげでフィクション系の本も読めるようになりそうです。
三枝さんの別の書籍も読んでみようと思います。
1兆円を稼いだ男の仕事術
- 作者: 夏野剛
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/07/02
- メディア: 単行本
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本のタイトルは「〜仕事術」となっていますがよくあるHOWTO本ではなく、夏野さんが職業人生から学んだことやそこから構築した仕事哲学を説明している書籍です。大きい目で見れば仕事術と言えなくもありませんが、あくまで成功体験本と理解した方がいいと思います。肝心の内容はというと全5部から構成されていますが、その中で印象に残ったフレーズをご紹介します。
- 「人生一寸先は闇、今出来る事を頑張ることでしか道は開かれない」
- 「社会的な成功は10%の才能と20%の努力、70%の運で決まる。でもそれでも最大限の努力を続けるしか無い」
- 「ビジネスは社会の発展を目的に行うべし。そうすれば会社にも個人にも利益が還元される」
他の方が読めば他のフレーズが気になることもあるのでしょうが私は上記が印象に残りました。
1は2とも関連しますが、簡単にいうと「人生先が読めないんだから今やれることをやっとけ」ということです。夏野さん自身、同著の中で「自分は幸運の連鎖により成功できた」と書かれています。多くの成功は "縁" と "運" により成り立っているという考え方は松下幸之助さんの考えにも共通しますね。
特に2は非常に共感です。これまで私は多くのビジネス本を読み、中には本人から直接や成功の体験談を聞く機会にも恵まれましたが、成功している人とそうでもない人の間に何か差があるのかというと特に無いような気がしていました。自分でも薄々「もしかしてただの運かな」と感づいてはいましたが、5000億円の市場を創りだした人の口から「70%は運だ」とい言われては、やはり「そうなのか・・」と思わざるを得ません。そしてそれを理解してもなおかつ頑張り続けるしか無い、ということも改めて認識できました。
ただし運を引き寄せやすい行動や人柄については至る所で研究結果があるようです。これについては以前読んだ『スローキャリア』にも同一のことが書いてありました。 |
3はもしかしたら人によるかも知れません。私の周りのビジネスに夢中な人間はどちらかというと「自分が好きだからやっている」というタイプの方が多いのですが、夏野さんのようにその国の人の生活や文化を変えてしまうレベルのビジネスの場合は社会の発展をモチベーションにしないと周りからの雑音がひどいのかもしれませんね。
どちらかというとビジネス本というより読み物の体が強かったのですが、内容的には「流石は夏野さん」と思えるものが多く、新年を迎えるに当たって最適な書籍だったと思います。年の始めに「今年も1年頑張ろう!」と思える本に出会え満足でした。
キャズム
- 作者: ジェフリー・ムーア,川又政治
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2002/01/23
- メディア: 単行本
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ITコンサルタントとして有名なジェフリー・ムーアさんが書いた有名な『キャズム』をとうとう読むに至りました。「アーリー・アダプタ」や「レイト・マジョリティー」など新たな視点でのマーケットセグメント分けを生み出したのはこの本です。同書は2002年に初版発行されたにもかかわらず現在も売れ続けており、ITマーケティングのバイブル的な書籍になっています。
私も『キャズム』自体は前から知っていて、WEBなどで「アーリー・アダプタ」などのセグメント分けの概念をよく目にしたものですから、「ああ、もう知ってるし別に改めて読むほどじゃないよね」と考えていました。しかし同書を読み私のその認識は誤りであったことを痛感しました。同書にはキャズムの基本的な考え方だけでなく、
という最も重要な部分が詳細に語られており、これを知らずしてキャズムの理解はあり得ないと言い切っても良いと感じました。ドラッガーの本を読んだ時も感じましたが、WEBや聞きかじりでなんとなくわかった気になるのではなく、やはり本家本元をきちんと理解することが重要なんだなと痛感しました。(考えたらプログラミング言語の学習でも同じですよね・・)
本ブログは書籍解説ブログではないのでキャズムの詳細な説明は同書に任せますが、同書の内容を簡単に語ると、「同程度の機能/品質の製品であっても、市場の浸透度合い差が出るのは実行するマーケティング戦略の違いである」という仮説の下、その根拠が詳細に語られています。具体的に例を挙げると、「iPodとWALKMANでできることにさほど差はないのに、どうしてここまでマーケットシェアに差が出るんだろう・・」などの疑問に対する(ムーアなりの)答えがこの書籍で語られています。
私は開発畑からセールス/マーケ畑に転身したので『キャズム』の考えは非常に納得でき、かつ今後の自分の活動に生きてくるだろうと実感しました。マーケティング担当だけでなく、開発マネージャーやベンチャー企業の経営者にもじっくり読んでもらいたい書籍だと思います。
2010年のマイベストかも?
20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義
20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義
- 作者: ティナ・シーリグ,Tina Seelig,高遠裕子
- 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
- 発売日: 2010/03/10
- メディア: ハードカバー
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内容はというとそこまで目新しい教訓や発見はないものの。起業を目指す人であれば早い段階から認識しておくべき事実や知って得する考え方が満載です。同書は理論を語るタイプの本ではなく、筆者がこれまで学生を教育してきた過程で好評だった授業の内容や、これまでに出会った優れた企業家の体験談などがまとめられており、どちらかというとエッセイに近いものを感じました。とはいえそこは企業家を育成する専門家、成功するために必要と思われる普遍的な理論が話のそこかしこにちりばめてあります。エッセイ調ということもあり読みやすく、2日程度でサラッと読めました。
私が特に気に入ったフレーズは、「あなたを規制しているのはあなた自身であり、世の中は可能性に満ち溢れていることに気づくはず」でした。世の中は思い通りにならないことばかりで、「あれをするにはこれが足りない」、「こういうことは簡単ではない」などすぐに考えてしまいますが、考えてみれば10年も仕事をしていれば手持ちの武器は意外に多く、ちょっと考えれば打ち手もそれなりに用意できることに気づきます。そのようなことを実感させるエピソードが多く掲載されており、結局自分を縛っているのは自分であり、単にそこから出たくないだけなのだということを改めて認識させてくれました。
同署は全体的に強烈に感銘を覚えるような内容ではありませんでしたが、私にとってはまさに「出会いの1冊」といえる書籍でした。この出会いに感謝して、今日から心を新たにしようと思いました。
2010/9/26 追記:
「自分に対しては真面目すぎず、他人に対しては厳しすぎないこと」という人生訓も、同書から得た大好きなフレーズの1つです。
まさか!?―自信がある人ほど陥る意思決定8つの罠
- 作者: マイケル・J・モーブッサン,関谷英里子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2010/04/09
- メディア: 単行本
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意思決定はマクロ的には行動心理学、ミクロ的には心理学で研究されていますがその学問の代表的な研究対象といえば「投資」です。本書でも主に「投資」を対象として人間の意思決定プロセスを明らかに使用としています。本書の目的は「意思決定に潜む罠を学習し、自身が意思決定する時にその罠に陥る確率を低くできるようになること」となっており、八つの大きな罠について、多くの事例と共に説明がなされています。
で、読んだ感想はというと、以前この書評でも紹介している『経済は感情で動く―― はじめての行動経済学』と似たような内容の本でした。「まさか!?」の方がより一般的な意思決定の視点で書かれていますが、行動心理学をメインに意思決定の誤りを解き明かそうとしている部分は非常に似ています。
同書では、1.準備、2.認識、3.適用という3ステップで意思決定の誤りに気づく事を推奨しています。1.は意思決定の誤りがどういう原理で発生するかをまず理解すること。これはわりと簡単だと思います。2.は日々自身が行わなければならない意思決定において「自分が陥りそうに鳴っている罠」が1.で説明されているどのカテゴリに該当するかを見極める作業。罠の回避方法はカテゴリ毎に大別されていますが、この罠は単体で連続性をもって発生する場合もあれば、2つ以上が同時に発生する場合もあり、しっかりとした "選別" ができないとそれに対応する方法も曖昧なものになってしまいます。そして最後に3.でそれぞれの罠に自分を適用させ、意思決定において都度最適な判断を下します。「最適な意思決定はこれら1〜3.を繰り返すことでよりスムーズに行えるようになる」というのが同書の主張です。
この本を読んで次の日から意思決定がスムーズに出来るというわけではありませんが、「陥りやすい罠」をカテゴリ毎に認識できるようになるだけで、意思決定をする際の一つの指針になるような気がしました。でももう一回ぐらい読み直さないときちんと理解出来ないというのが正直なところです。。
CMCで変わる組織コミュニケーション 企業SNSの実践から学ぶ
CMCで変わる組織コミュニケーション 企業SNSの実践から学ぶ
- 作者: 山本修一郎
- 出版社/メーカー: エヌティティ出版
- 発売日: 2010/04/23
- メディア: 単行本
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研究者の方が書かれた書籍なので、正直あまり実践的ではありませんでした。どちらかというと理論よりで、CMCの「必要性」や「有効性」についての分析/説明に多くの時間が割かれており、「CMCメディアにを最も有効に活用するにはどのようにすべきか」という現場が最も知りたい部分までは述べられていませんでした。私はITプロジェクトにおけるCMCの有効性を既に身をもって体験してるため、それらの「必要性」、「有効性」については読むまでも無いと思っていました。しかし、筆者の考えるそれらの分析を読んでみると改めて納得させられる内容、観点であり、CMCの持つ多面的なパワーと影響力を再認識させられました。
第5章は同書籍の本論で、
5.1 従来の知識創造モデルの論点
5.2 仲介知に基づくデジタル知識流通モデル
の2つの違いを明らかにしています。これは簡単にいうと以下のとおりです。
そもそも知識には、個人が所有しているcloseの知識である「暗黙知」と、広く一般化されている「形式知」が存在し、暗黙知を形式知に変化させるのが、組織活動における知識拡大上の課題とされています。従来型の5.1では個人→グループ→組織で知識を形式化していくしかありませんでしたが、デジタルメディアの登場によって、暗黙知→形式知を繋ぐ存在である「仲介知」が最近存在してきています。仲介知は別名メタ知識とも呼ばれ、そ自身では形式知では無いが、暗黙知を形式知に昇華させる可能性を持った知識のことで、twitterのRTなどが仲介知の代表格ではないかと思います。デジタル型の知識創造は、この仲介知を広く活用することによって、その活動をより促進させることができると思われます。 |
また、この3つの知識モデルがそれぞのどのように変換されるかについても説明されています。この3つは以下示す9つのアクションによって変換されつつ、知識を拡大/蓄積させるとのことです。
洗練化、公開化、協働化、断片化、共鳴化、共同、表面化、内面化、連結化
これらについては同書に、状態モデル図や変換プロセス図なるものが掲載されていて、かなり興味深かったのですが文字で説明するのが困難だったので割愛します。。代わりといっては何ですが、書籍の図を撮影したものを以下に配置しておきます。
今回は学術的な書籍だったのでBlogの書評でその内容や評価をお伝えするのが難しく、内容の抜粋を説明しました。「CMCの導入を考えているが、なかなか組織の理解が得られない・・」という形は是非この書籍の第5章を読み、皆さんに共有してみてください。きっと話が前進すると思います。
- CMCについては知っているいるけど、その有効性についてちゃんと理解していない
- CMCの効果については体感しており、それらを組織に拡大させたい
という方にはおすすめできる書籍です。ただし理論よりなので若干読むのがきついかも知れません。