競争の戦略
- 作者: M.E.ポーター,土岐坤,服部照夫,中辻万治
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 1995/03/16
- メディア: 単行本
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競争戦略策定のプロセスに対して一つ一つ答えを出すこと。
- A 企業が今やりつつあるものは何か?
- どんな戦略か?
- 戦略の基礎になっている仮説は何か?
- B 企業環境に何が起こりつつあるのか?
- 業界分析
- 競争業者分析
- 社会分析
- 自社の特長と弱点
- C 企業は今後何をしなければなっらないか?
- 仮説と戦略の点検
- どんな戦略がありうるか
- ベスト戦略の選択
競争を激化させる5つの構造要因
- 新規参入の脅威
- 代替製品の脅威
- 顧客の交渉力
- 供給業者の交渉力
- 競争業者間の敵対関係
参入障壁
主な参入障壁は7つ
- 競合他社が既に規模の経済を生かしている
- 競合他社の製品が差別化されている
- 参入するのに巨額の投資が必要
- 見込み顧客にとって仕入先を帰るコストが高く付く
- 流通チャネルを持たない
- 規模とは無関係な面でのコスト不利がある(エクスペアリアンス曲線が成熟している等)
- 参入しようとしている業界が政府の政策によって保護されている
新規参入に対して報復されるケース
- 過去猛烈な反撃の記録がある
- 参入に対する十分な経営資源を持っている
- 既存企業がその業界に執念や愛着を持っている
- 業界の成長がのろい(=参入を許すことに長期的なデメリットを感じる)
業界への参入は参入によって得られる利益が参入に対する既存企業の反撃を振り払うコストを上回ると予想された際に行うべきもの。
上記以外にも世の中の時流や技術革新によって参入障壁が変動する場合がある。エクスペアリアンス曲線を高度化させてしまった後に技術革新が起こると、構築してしまったエクスペアリアンス曲線を維持しようとするあまりに既存企業は弱体化し、新規の参入を許す結果を招く。
円高の正体
- 作者: 安達誠司
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2012/01/17
- メディア: 新書
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最近、やや円安に振れていることを受けて、「なんで円安なんだろう? そもそも円高になるメカニズムを知らないな・・」と思って読んでみました。今まで為替関係の本は何冊か読んできましたが、同書のおかげでようやく為替レートが変更する仕組みが理解できた気がします。
同書は2012年1月に第1刷が発行され、同年3月に第6刷が発行されていることから、短期間でかなり売れていることがわかります(おそらくベストセラーといっていい)。同書の主張と論理展開を見てみると、
- 円高は現在の日本にとって悪でしかない
- TVや他の為替関連の書籍で展開されている円高性善説はまったくの誤り。それは過去の経済データーで明らかに証明できる
- 為替レートを変化させるパラメーターはいろいろあるが、基本的には自国と他国の通貨流通量の比率によって決定されている
- 為替の変化で最も着目すべき指標は『予想インフレ率』。中央銀行が自国のマネタリーベースをコントロールすることで、この値を増やしたり減らしたりできる
- その国の通貨発行量をコントロールできるのは同国の中央銀行のみ。よって金融政策によるマネタリーベースのコントロールでしか円高を阻止することはできない
中でも私の中で新鮮だったのは、「為替レートは自国と他国の通貨流通量の比率によって決定されている」という事実です。同書にも書かれていますが、一般的な円高の原因は「経済が堅調と判断されている国の通貨は買われて高くなる」とされています。それはそれで正しくはあるのですが、著者の安達氏によると「それよりも通貨の流通量の比率が与える影響の方が遥かに大きい」とのことで、「そしてそのことは過去の経済データーが証明している」と仰られています。これには非常にビックリしましたが、説明を読むと納得せざるを得ませんでした。
今後、国の年金があてにならないとなると、自分で資産を運用していくしかないのですが、実際にそれを行わなければならなくなった時の判断基準として非常に参考にる本でした。また、私が世界企業で働くようになった時にも、考え方のベースになってくれる気がします。
小倉昌男 経営学
- 作者: 小倉昌男
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 1999/10
- メディア: 単行本
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「経営の教科書」と呼ばれていて、多くのビジネス雑誌で推薦されていたので読んでみました。大変面白かったですが、『教科書』と呼ぶほど体系的ではなく、どちらかと言うと「ある程度経験を積んだ経営者が行き詰まりを感じた時に読む本」という意味での経営者の教科書だと思いました。
内容はというと、ヤマト運輸の2代目小倉昌男氏の経営経験がまとめられており、宅急便サービスを日本に普及させるまでに直面した様々な問題とその解決の思考がまとめられています。上述したとおり体系化はされていないのですが、とにかく内容が実践的で多岐に及んでいるため、出てくる問題様々な問題の解決エピソードを読んでいると、「なるほど」、「その手があったか!」と思うことばかりです。もしかしたら、その意味では体系化されている本よりもよっぽど教科書的なのかも知れません。
同書からわかる小倉氏のビジネス思考は、とにかく良心の高さとスケールの大きさに富んでいます。当時「不可能」といわれていた個人宅配市場の創出をサービス至上主義の下に執念で作り上げたその熱意には尊敬の念を抱かずにはいられません。またその上で個人宅配市場の収益性の確からしさを(早い時期から)確実に察知し、いち早く同事業に参入したビジネス感度の高さもも見逃せないと思います。同書を読んでいると、経営に対する考え方が非常に日本的だなと感じますが、同時に今世界からお手本にされている『ジャパン・サービス・クオリティ』の考え方がひしひしと伝わってきます。
内容が多岐に渡っており、特定のポイントにフォーカスしてサマリを書くことが難しいので、ざっくりとした書評になってしまいましたが、『教科書』と呼ばれるだけはある、読み応えのある本でした。ただし、社会人経験が少ない若者や、駆け出しの経営者にとっては学びの少ない書籍かもしれません。読み手を選ぶ作品でしょうか。
ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代
- 作者: ダニエル・ピンク,大前研一
- 出版社/メーカー: 三笠書房
- 発売日: 2006/05/08
- メディア: 単行本
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- 20世紀は左脳的考え方の時代
- 21世機は右脳的考え方の人が時代を牽引していく(ただし左脳型の考えも引き続き健在)
- これからのビジネスマンを脅かすのは以下の3つの存在
- 豊かな社会が生み出す新しい価値観
- アジアの安い労働力
- IT化に伴うオートメーション
- 21世紀は「ハイタッチ/ハイ・コンセプト」の時代
- その時代で求められるのは以下の6つのセンス
- デザイン
- 物語
- シンフォニー
- 共感
- 遊び心
- 生きがい
論理展開としては以下です。
20世紀までは左脳の時代だったがこれからは右脳の時代 → 何故なら我々を脅かす3つの存在が今後台頭してくるから → その時代を生き抜くには6つのセンスが必要 |
読み終わってみてかなり感銘を受けました。最近『10年後に食える仕事、食えない仕事』という書籍が流行っているようですが、コンセプト的には同じで、この本の方がより抽象的/本質的にその議論に迫っている気がします。(前者の本読んでませんけど・・)
特に私が共感を得たのは、『デザイン』と『シンフォニー』です。
物質が増えすぎた社会においてはそれらを差別化していくのはデザインであり、デザイナーは現代の錬金術師であるという考え方は目からウロコでした。私もどちらかと言うと20世紀タイプの左脳人間で、どうしても機能性や合理性で物事を考えがちなのですが、この考え方を知って以来、「無駄にお洒落」、「意味なくカッコイイ」にこだわることにしました。シンフォニーは異なる価値観を繋げていく能力のことで、書中にある「イノベーションとは殆どの場合、伝統継承と伝統破壊の調和によって生まれる」というくだりには感動しました。まさしく温故知新ですね。
最近スティーブ・ジョブズ氏の偉大さが讃える書籍が多く出版されていますが、彼がここまで讃えられる理由がまさにこの書籍で語られている気がしました。私もまだ若いので、今度はこの書籍のような生き方を実践していこうと思います。
「できる社長」のお金の使い方―決算書に表れない「会社の数字」を読
「できる社長」のお金の使い方―決算書に表れない「会社の数字」を読み解く (知的発見!BOOKS)
- 作者: 金児昭
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2011/05/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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内容はというと、非常に説明しづらいのですが、会社の中における経理・財務のあり方や、会社としてお金をどう使うべきかなどについて、金児さんが仕えられた歴代の社長さんの発言を引用して語られています。大体がショートストーリーで語られており、書籍というより発言集という感じでしょうか。プロフィットセンターである私にはあまり参考にならないことが多かったのですが、唯一「一円の利益を大切にすべし」という言葉は心に刺さりました。
本書とは直接か関係はないことなのですが、本書を読んでいて感じたのは金児さんの人柄です。おそらくはたいへんな人格者なのだろうと確信を持って感じられるぐらいに文章に人の良さがにじみ出ていました。「年を取るならこうありたいな・・」と感じました。
クラッシュ・マーケティング
- 作者: ジェイ・エイブラハム,金森重樹
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2009/11/06
- メディア: 単行本
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DRMの書籍に書いてある一般的なことを散りばめられており、その分野についてかじった方が読めば、「あ、これ知ってる」、「あの本と同じこと言ってるじゃん」という感想を抱くと思われます。しかしながらこの感想は本書の位置づけからいうとむしろ自然です。本書はDRMを論理的に説明した教科書ではなく、DRMが有効に働いた事例を多数用意し、読者にDRMの有効性を理解してもらうための本と言えるかも知れません。
でもそのせいか、(私から見ると)書籍の構成があまり練られておらず、すごく頭に入ってきにくい印象を持ちました。確かに事例にはいいことが書いてあって、「なるほど、、そんな方法もあるのか」と気付かされますが、それらがあまり統一感が無くいろんな章に出現するので、全体としての構成が頭に入ってきづらかったです。
内容はというと、筆者の豊富な経験に基づいたマーケティング全般について書かれています。いろいろ書いてあって大切な部分が絞りにくいのですが、私が印象に残ったことを以下に列挙します。
- 売上が低迷したからといって広告費をケチるな。広告に代表される集客活動に費用を惜しむべきではない。
- 全てのことについてテストせよ。データを取り、費用対効果を検証するという行為を繰り返さないと良い物のみを残せない。
- 『今の市場への製品の投入』、『今とは違う市場への参入』、更には『今と違う事業の立ち上げ』のいずれかについて常に試行錯誤すべし。
- 何でも自分一人でやろうとするとな。お互いを保管しあえるパートナーを探すところから始めろ。
私はビジネスで最も大切なものは、集客術だと信じて疑いません。「(見込客を含めた)お客の探し方」と「その人達への売り方」に精通していれば、必ずしも商品価値はトップ・プライオリティにならないと考えています。本書はそんな私の考えを補強する格好の材料となりました。多少読みづらくはありますが、読んでおいて損はないと思います。
facebookアプリケーション開発ガイド
- 作者: 株式会社鳥人間郷田まり子
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2011/04/27
- メディア: 大型本
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内容は、というとなかなかいいです。facebookの紹介から始まって、概念、構成要素、Social PluginsやAPIの説明からPC/モバイル(スマートフォン)の実装コードまでがカバーされておりなかなかの網羅性です。
最近は世界中のサービスでAPIが公開されており、あたかもWebAPIがデータベースに取って代わったような印象すら受けます。もしかすると今後はWebAPIの概念を正しく理解し、それぞれのサービスのAPIを使いこなすことがエンジニアに要求されることであり、そしてWeb開発言語はその仲立ちをするためにこそ存在するのかも知れませんね。 |
facebookの開発では最終的にはfacebookから公開されているオリジナルのドキュメントを読むことになりそうですが、facebook(関連の)アプリケーションを実装する上で "入り口" と成り得る1冊であると思います。
同時に私に開発することの楽しみを思い出させてくれた1冊でした。