クラッシュ・マーケティング

クラッシュ・マーケティング

クラッシュ・マーケティング

本書は通信販売業者などプロの世界で用いられる『ダイレクト・レスポンス・マーケティングDRM)』を中小企業や個人事業主向けに展開したもので、USではその草分け的存在として著名なジェイ・エイブラハムという方が執筆されています。私は存じ上げませんでしたが、USのその業界ではかなり有名な方らしいです。


DRMの書籍に書いてある一般的なことを散りばめられており、その分野についてかじった方が読めば、「あ、これ知ってる」、「あの本と同じこと言ってるじゃん」という感想を抱くと思われます。しかしながらこの感想は本書の位置づけからいうとむしろ自然です。本書はDRMを論理的に説明した教科書ではなく、DRMが有効に働いた事例を多数用意し、読者にDRMの有効性を理解してもらうための本と言えるかも知れません。
でもそのせいか、(私から見ると)書籍の構成があまり練られておらず、すごく頭に入ってきにくい印象を持ちました。確かに事例にはいいことが書いてあって、「なるほど、、そんな方法もあるのか」と気付かされますが、それらがあまり統一感が無くいろんな章に出現するので、全体としての構成が頭に入ってきづらかったです。


内容はというと、筆者の豊富な経験に基づいたマーケティング全般について書かれています。いろいろ書いてあって大切な部分が絞りにくいのですが、私が印象に残ったことを以下に列挙します。

  • 売上が低迷したからといって広告費をケチるな。広告に代表される集客活動に費用を惜しむべきではない。
  • 全てのことについてテストせよ。データを取り、費用対効果を検証するという行為を繰り返さないと良い物のみを残せない。
  • 『今の市場への製品の投入』、『今とは違う市場への参入』、更には『今と違う事業の立ち上げ』のいずれかについて常に試行錯誤すべし。
  • 何でも自分一人でやろうとするとな。お互いを保管しあえるパートナーを探すところから始めろ。


私はビジネスで最も大切なものは、集客術だと信じて疑いません。「(見込客を含めた)お客の探し方」と「その人達への売り方」に精通していれば、必ずしも商品価値はトップ・プライオリティにならないと考えています。本書はそんな私の考えを補強する格好の材料となりました。多少読みづらくはありますが、読んでおいて損はないと思います。