勝てば官軍―成功の法則
- 作者: 藤田田
- 出版社/メーカー: ベストセラーズ
- 発売日: 1996/10/01
- メディア: 単行本
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『勝てば官軍』というタイトルがセンセーショナルでしたが、内容はというとありがちな "成功者が自分の体験や主張をなんとなくまとめた本" でした。五部構成になっていますが、その1/3程度は日本社会や政治へに対するお話で、名経営者らしく話は歴史学、社会学にま及んでいます。もちろん経営理論や成功則についても書かれていますが秩序だった理論というわけでなく、ご自身のビジネス上の体験やこれまでの人生で学んでこられたことがまとめられているのみです。「経営のイロハ」を学べる本でなく、「藤田田氏の考え方を覗ける本」という方が正しいかも知れません。(もっとも成功者本の多くがこれに当たりますが)
印象に残ったこととしては、(ご自身は認識されていらっしゃらないかも知れませんが)同氏は社会学に非常に長けていらっしゃり、人口構成や生活習慣の変化からビジネスチャンスを読み取るセンスをお持ちのようです。マクドナルドを日本に根づかせたのも30年後の人口構成と生活習慣を念頭においていたからこそであり、近視眼やブームで物事を捉える方であればこうはいかなかったと思います。本書の中でも語られていますが、「経営者やサラリーマンはより多くのこと(特に自国の歴史・文化)に興味を持つべし」と主張されています。そしてそれこそが自分を成功に導いた要因の一つであるとも語られています。
私は今までビジネスフレームワークや経営論にばかり興味を持ち、多くの時間をそれらの学習に費やしてきました。おかげでそれらのスキルはだいぶ磨かれてきましたが、同時に「先を見越す力」が不足していることにも気づきました。そしてこの先見力は自国(もしくは世界の)歴史・文化を学ぶことによって得られるかも知れないとも思うようになりましたが、その考えを本書によって後押しされたような気がしています。
あと、「英語と簿記を勉強しろ」という、しごく基本的なビジネススキルの必要性についても言及されています。これに関しては「やっぱりそうだよね・・」とただ思うばかりです。
本書はためになる部分は多くあったものの、経営者見習いの私にはやや高度すぎる内容でした。10年後にもう一度読んでみようと思っています。