キズナのマーケティング ソーシャルメディアが切り拓くマーケティング新時代

あるBlogで紹介されていて面白そうだったので読みました。筆者はソーシャルマーケティング専業会社代表の池田紀行さん。私は存じ上げませんでしたが、ソーシャルメディアマーケティングの世界では有名な方らしいです。内容はというと、まずは主にソーシャルメディアマーケティングの誤解を解くことにページを割かれています。同書の中で筆者はソーシャルメディアは事実の拡声器」と主張しており、決して「お金を掛けずに自社の製品を宣伝してくれる魔法のツールではない」と語っています。この主張は多くの書籍やネットで語られているにもかかわらず未だに根強く残る勘違いであり、現在においてはこれがマーケターを悩ます1つの原因となっているようです。


どんな産業でもそうですが、その歴史を紐解くと「その産業を牽引してきた技術や方法論がなぜ生まれたのか?」がわかります。同書の中でもその歴史は簡易に語られており、ソーシャルメディアマーケティングも、マス広告の氾濫と情報爆発の結果、マーケットが生み出した原点回帰の流れであり、そこにネットのパワーがプラスされたことで新たな価値を持つようになったと説明されています。そして原点回帰したからこそ、人と人とのつながり、いわゆる「キズナ」が再認識されるようになったとのことです。私もマーケターの端くれとして、ソーシャルメディアについてはそれなりに知っているつもりでしたが改めて襟を正された書籍でした。

特に勉強になったのは、ソーシャルメディアマーケティングで出来ることとできないことを説明したくだりで、他の様々マーケティング手法と比較しながらその部分を深堀されていました。私はこれらの事実について、今までなんとなく知っていましたが、「じゃあ明確に何が違うの?」と改めて聞かれると、確実に口篭ってしまっていたと思われます。今回その部分も合わせて、すっきりと整理して理解することができ、今までのモヤモヤ感が晴れたのも私にとっては収穫でした。


同書はいわゆるHOWTO本とは少し趣が異なっており、どちらかというとマーケティング哲学の本という印象が強かったです。とは言えソーシャルメディアマーケティングを行う上で注意すべきポイントや、費用対効果/KPIの算出方法についても(軽く)言及されています。そういう意味では「これからソーシャルメディアマーケティングをやるぞ!」と考えていらっしゃる方にはぴったりの書籍ではないかと思いました。

巻末に掲載してある特別インタビューも、(インタビューなだけに)非常に参考になる事例ばかりで、ソーシャルメディアマーケティングの「地味さ」と「地に足の着いた効果」を感じることができました。私も今ソーシャルメディアマーケティングについては個人的に試行錯誤していますが、やっぱり「時間かかるなぁ・・」という印象です。でも「成功は1日にしてならず」ですよね、頑張ります。