ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

有名なこの書籍をやっと読み終えることができました。本書を知らない人のために一応説明しておくと、筆者は米国のビジネススクール教授とコンサルタントの方お二人。主に米国の五十年以上に渡って繁栄を続ける企業(ビジョナリー・カンパニー)とそうでない二番手の企業(比較対象企業)を比較し、ビジョナリー・カンパニーに共通する特徴を究明することが同書のテーマとなっています。その辺の評論家が持論を展開しているのではなく、膨大な調査と資料を基に5年がかりで執筆されていることも興味深いです。(巻末に理論の根拠となった参考文献が多数掲載されています)

本書の結論をすごくざっくり言うと、ビジョナリー・カンパニーは以下の特徴を持っていると結論付けています。

・長年に渡って会社の基本理念を維持し続けている。
・どのような時代であっても理念に基づいた進歩を止めない。
・上記二つを推進するために徹底して一貫性を保っている。

細かく言うと他にもあるのですが、ビジョナリー・カンパニーは上記三つを継続して行っていることが調査と分析により判明しているそうです。私にとって特に印象的だったのは、「ビジョナリー・カンパニーは画期的アイデアによって生まれたのではなく、事業活動の改善と組織強化によってビジョナリー・カンパニーなったのだ」というフレーズと、「ビジョナリー・カンパニーは生物の進化の過程と同じく、多くを試してみて優れたもののみを残した結果だ」というフレーズの二つです。それまで私は事業の成功には綿密な事業戦略が欠かせないと考えていましたが、むしろそれは後付であることがほとんどであるという事実と、たまたま上手く行った後の徹底性こそが真に重要だと考えるようになりました。

非常に有名な本なので多くの方が既に読まれていると思いますが、私は35歳にして初めて読みました。やはり名著と言われるだけあって、非常に明快で説得力のある理論が展開されておりどれも納得のいく内容でした。

ただしある程度社会経験を積んだ人でないと心から同意はできないかも知れません。これから同書を読まれる方は自身の年齢を加味した上で読まれることをお勧めします。