「紫の牛」を売れ!

「紫の牛」を売れ!

「紫の牛」を売れ!

タイトルからもわかるように「通常では売れないと考えられているモノに着目して商売をする」というテーマにを取り扱った書籍。簡単に説明すると「ニッチ市場を狙え」、と言っているだけです。2004年2月に出版(和訳)されているので、今では一般的な主張でも、当時は革新的な考え方だったのでしょうか。他の書籍に書いてある内容が散在している程度であまり目新しいことはありませんでした。

役に立ったのは以下の3つ程度でしょうか。
1) ムーアのアイデア普及曲線に新たに価値曲線を加筆した
2) スニーザーの存在とその重要性
3) 紫の牛で得た利益は新たな紫の牛を生み出すための投資に回すこと

1) はかの有名なムーアのアイデア普及曲線に新たに価値曲線を加え、それらがどのように相関しているかについて述べられていました。こちらは聞いて納得の内容です。2) は「ニッチ市場においてはスニーザー(くしゃみをする人=伝搬者)の存在が必要不可欠」という主張で、スニーザーの正体やその人たちに訴えかける方法について語られていました。こちらも今となっては当たり前ですが、私の中ですっきり整理できたのは大きかったです。3) はもっともですが、意外と実行は難しいでしょうね。社長は常に利益の最大化と拡張を求めるものなので。

しかしこの本の不満な部分は、「『紫の牛』を見つけて売ればそれが何であっても成功する」、しかも「現代にあって成功するにはその方法しか無い」と言い切っていることでした。世の中に奇抜で斬新なことを考える人はいつの世にもいるものですが、その人達が継続して発展できるほど世の中は甘くはありません。世の中はもっと複雑なので、多角的な観点でみた場合、成功するヒントはもっと他にもあると思います。

とは言え「ニッチ層を狙う」という1点については初心に戻れる1冊でした。